Letters

Letters by Yuriy Kusanagi

書評『急に売れ始めるにはワケがある』マルコム・グラッドウェル著

非常に興味深い本だと思う。

翻訳ならではの読みづらさと意外なほどのフルボリュームに読むハードルが少し上がってしまっているけど、それでも読む価値はある。

 

 

「150の法則」とは

 

おそらく、150の法則という言葉を聞いたことのある人は少ないはずだ。

僕もこの本を読むまでまったく知らなかった。

 

簡単に説明すると、組織の人数が150人以上になると統率が取れなくなるという法則だ。

 

組織の統率を取るために、新しい管理システムを導入したり、役職によって階級分けしたり…と考える管理者は多いと思う。

でも、重要なのはそこじゃない。

 

組織の統率を取るために必要なのは、単純に、ひとつの組織の人数を150人以下にすることだと筆者は言うのだ。

構成員の数が150というティッピング・ポイント(傾くポイント)を超えてしまうと、不思議なことに、一気にその組織の様子は様変わりしてしまう。

 

 

なぜ渋谷はいつもカオスなのか

 

僕なりにこの理論を使ってなぜ渋谷の街がいつもカオスなのかを説明したいと思う。

 

渋谷のスクランブル交差点付近は今や観光名所として外国人観光客が訪れるほどの賑わいを見せている。

センター街には明け方になると吐瀉物が撒き散らされ、道玄坂を歩くと怪しいキャッチのお姉さんに話しかけられるし、ハチ公前でのナンパ行為は渋谷の日常茶飯事だ。

 

なぜ、東京の街の中でも他の街と違って渋谷はカオスなのか。

それは、渋谷の街が駅を中心としていつも人がたくさん(もちろん150人以上)密集するような地形になっているからなのだ。

 

 

他人が自分の思考を把握していない状態

 

本書曰く、人が150人以上集まると、自分の考えていることを他人が把握していないという状態が発生する。

10人のグループだったらもちろんこれはほとんど不可能で、お互いがお互いのことを常に把握している状態になる。

 

自分が何をしても他人は見ていないという意識がその地域の中に生まれると、急にその場所はガラが悪くなるのだ。

 

だから、他の街ではお行儀良く振舞っていた人でも、渋谷で酔っ払うと平気で路上に嘔吐する。

故郷の田舎町では勇気がなくてナンパできなかった少年も、上京してハチ公前に来ると急にナンパ師になる。

 

そういうことなのだ。