Letters

Letters by Yuriy Kusanagi

お金がないと欲望は去勢されてしまう

お金はただの手段でしかない。

だけど、この人間社会の中でお金はものすごい力を持っていて、それは人間の想像力や思考回路でさえも左右してしまう。

 

 

もしもお金がまったく使えなくなったら

 

例えば、あなたが刑務所に入れられて、一生外に出られない状況に陥ったと仮定する。

もちろんお金を使って遊ぶところの話じゃない。

 

当然ながら僕は刑務所に入った経験がないので、ここから先は想像するしかないけど、おそらく、そんな状況の中で人は何かお金を使わない「遊び」のようなものを勝手に発明するんじゃないかと思う。

 

例えば、壁についているシミの数を数えたり、夕飯のメニューを予想したり、そういったゲームのようなものだ。

 

人間は慣れる動物だから、きっと次第にそういったことを楽しいと感じるようになるだろう。

 

 

お金の有無が人に与える影響

 

一方、刑務所の外では、一般人が休暇にちょっとした旅行を楽しんだり、大富豪たちがカジノで豪遊することを楽しんだりしている。

 

僕が思うに、そこに優劣はない。

夕飯のメニューを予想するゲームより、カジノで豪遊をすることが誰にとっても楽しいとは一概には言い切れないからだ。

 

ただひとつだけ言い切れることは、刑務所で一生を終えることが確定している囚人は、カジノで豪遊するという遊びをやりたいとも思わないだろうということ。

 

できないことが確定しているんだから、当たり前のことだ。

そこに夢を持ち続けてしまえば、日々の生活が苦しくなるだけ。

 

結果、自分の手の届きそうな範囲の中で、やりたいことを考えるようになる。

 

お金がないと、人間の欲望は去勢されてしまうのだ。

 

 

誰もが自分の欲望に気づけないでいる

 

極端な例を挙げてみたけど、語弊を恐れずに言えば、多くの人はこの囚人と大差ない生活を送っているように思う。

 

自分のできる範囲の中で楽しいことを見つけることは素晴らしいけど、その外側に目を向けていかない限り、自分の内なる欲望に気づくこともできない。

本当は誰もがもっと欲深い存在なのに。

 

僕は自分の欲望に制限を設定したくないし、さらに大きな欲望にも気づいていきたいといつも考えている。